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会社やお店をはじめる前の準備

「商圏」はお客様が決めるもの ~お客様に選ばれる会社やお店づくり~

 創業時において考慮すべき商圏とは、その会社やお店を利用すると見込まれる潜在的な顧客が住んでいる地理的または時間的な範囲のことを指します。商圏の広さは会社やお店の規模、職種によって大きく異なります。通常、日常生活で頻繁に購入する食料品などは居住地の近くで購入することが多いため、食料品店などは商圏は狭く、衣服や調達品などの高額商品は耐久性が高く購入頻度が低いため、ある程度の時間をかけて出かけてでもより大きな店舗で満足の得られる商品を購入することが多く、商圏は広いといえます。創業を検討する際には、まず営業しようとする職種に応じて商圏を検討し、どこに会社やお店を構えるか立地を考慮しなければなりません。

 商圏を調査する方法はいろいろあります。市町村など地方自治体では国勢調査や住民基本台帳をもとにした町名・丁目別の世帯数及び人口を公表していますし、業種別の消費動向や消費金額の平均も知ることもできます。また、飲食店など特に狭い商圏を対象にする場合には、店舗の候補地となる前の道路をどのような世代の人たちがどのくらい通るのか、主婦が多いのか、学生が多いのか、会社員が多いのか、自動車での来店を見込む場合にはどの時間帯にどれほどの交通量があるかを実際に路上でカウントしていくことにより、その商圏の中でもより正確な顧客層を予測することができます。都市の中心市街地や高齢者が多い町では、駐車場の確保よりも駅やバス停に近いという立地条件が必須となるでしょう。これら商圏を調査したり、店舗を探すことは非常に骨の折れる作業ですし、店舗を借りたり購入したりする際には、どうしても建物の雰囲気で立地を選んでしまいがちですが、開店後に見込み違いに気が付くようでは取り返しがつきません。

 若い世代の趣向も多様化してきました。1980年代や90年代くらいには、多くの若者は、海外旅行に行ったりスポーツタイプの自動車を運転することが好まれていましたが、現在では携帯電話やパソコンに置き換わっています。漢字検定をはじめとする多くの資格検定や道の駅めぐりなどがこれほどブームになるとは誰も予想していなかったことでしょう。一方で、そもそもさしたる趣味がないという若い世代も非常に増えてきました。今後はこういった人たちに対しても人生の「楽しみ」や「喜び」を提供することができる企業が躍進していくことでしょう。

 しかしながら、あまりにもテクニカル的な商圏の概念にこだわっていると、質の高い顧客を取りこぼしてしまうことになりかねません。たしかに「商圏」と「立地」のマッチングは重要ですが、商圏外のお客様の需要をも満たしていくことこそが企業の社会的使命であり、中小企業にしかできない利点であり、中小企業が成長していくカギともいえるのです。

 「立地が悪い」「町が衰退している」、はたまた「方角が悪い」ことを業績低迷の理由にする経営者は少なくありませんが、情報発信の手段が多様化しており、ことインターネット全盛の現代においてそれは企業努力を怠っている言い訳にすぎません。

 沖縄県本島の「やんばる」や、八重山諸島などの離島に行くと、北海道では考えられないほどの辺鄙なところに喫茶店やペンション、土産物店があったりするものです。公道からは全く店舗が見えないどころか、看板さえも掲げていないお店もあります。しかしながら、廃業の危機とは無縁でのんびり営業しながらもきちんと利益を確保できているお店がほとんどです。

 こういった店舗の周囲には集落といえるものさえないことも少なくありません。既存の「商圏」という概念では顧客の見込みはゼロですが、実際には全国の至る所からお客様が来店するのです。

 これらの会社やお店は、自社がターゲットとなる顧客の商圏を決めるのではなく、全国どこに住んでいるお客様であっても、お客様に選ばれるような個性的な会社づくり、お店づくりに励んでいます。山奥にある築数百年のひなびたランプの宿や、おかみさんが地元の新鮮な食材で作った食事を提供する食堂などは特段の広告を発信しなくても様々な地域から来店客があるものです。

 九州や沖縄に住んでいるお客様が、地元でいくら探しても見つからなかったモノやサービスが北海道で見つかったとしたら、お客様も感激するでしょうし、経営者側としても嬉しい実績となるでしょう。

 お客様に選んでいただける会社づくり、お店づくりをしてみませんか。

 それを実現する上で、インターネットは非常に有用ですので、次のページをご覧ください。