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会社やお店をはじめる前の準備

インターネットを活用して全国・全世界に発信する

 企業が広告をする方法はたくさんあります。ただ、中小企業にとってはテレビのコマーシャルを流したり、新聞や雑誌に全面広告を掲載するのは費用の面から現実的ではありません。しかしながら、これらの広告手段が利用できないからといって嘆く理由は全くありません。時代はテレビからパソコンや携帯電話を利用したインターネットに移行してきているのです。

 現在ではほとんどすべての中小企業がインターネットを利用して全国各地のお客様を獲得しています。実店舗を持たないインターネット上のショッピングモールも多くあります。

 たとえば国内旅行の計画をする際には、従来のように旅行代理店に相談するというタイプのお客様はほとんどいないでしょう。以前はかなり多くの種類があった旅行ガイドブックも相当減ってきています。今や旅行者の多くは、インターネットで航空券を予約・購入し、泊まりたいホテルや旅館を探し、行きたいレストランや観光施設の情報を得ています。

 特に宿泊施設などは、一昔前は旅行情報誌には宿の名称、収容人数、料金くらいしか掲載されておらず、「行ってみたら予想していた雰囲気と全然違った」など、選択するのに非常に困ることが多かったですが、ホームページでは内装から部屋から見える景色、食事の内容まで写真を通して見ることができるようになりました。施設側も遠方に住んでいる潜在的顧客に対して視覚に訴えることができるようになりました。紙面の範囲の都合上、伝えることが難しかったファームインなどの体験型の宿泊施設も、その独自性を写真や文章で表現することが容易になりました。このようなことから、旅館やペンションなどの小規模な宿泊施設や土産物店のなかには、インターネットのホームページを見ての来店客が9割以上というところが多くあります。

 インターネットの利点は多くありますが、ひとつにはインターネット上では大企業も中小企業も対等な立場で自社や自社の商品をアピールできる、ということにあるでしょう。ホームページを作成する費用はテレビのコマーシャルに比べれば格段に安いですし、ある程度学習すれば誰でもほとんど無料で作ることができます。インターネット上では会社やお店の規模や立地もほとんど問題になりません。地方の比較的小規模な会社や店舗が取り扱う特産品の「お取り寄せ」が人気なのもその証拠といえるでしょう。

 さらなる利点として、インターネットは企業側だけでなく消費者側も情報を発信することができる、ということにあります。テレビのコマーシャルは自社のモノやサービスを一方的に主張しているだけですので、消費者としてはそれを本当に信じていいのか懐疑的になることもあります。その点インターネットでは、消費者がモノやサービスの評価や感想を自由に書き込むことができます。「価格コム」「一休」「アットコスメ」などの消費者参加型のホームページやウェブログの登場によって、売り手側の一方的な宣伝に惑わされず、買い手側の生の声を調べることにより、購入前の段階からより客観的にモノやサービスの真価、店舗の対応などを予測できるようになりました。

 これは中小企業にとって大きなメリットといえるものです。ネット上の口コミによって顧客がいわば無償で営業をしてくれるわけですから、遠方のお客様であっても常日頃から丁寧な対応に心がけていきたいものです。

 インターネット上の取引を顔が見えない取引として毛嫌いする経営者も少なからずいますが、お互いの顔は見えなくても、経営者としてお客様に心を伝える、気持ちを伝えることは十分に可能です。

 顔が見えない分、電話やメールでの問い合わせでは丁寧な言葉遣いを心がけたり、お客様に直筆でのメッセージカードを封入するなど、通信販売であっても対面販売以上にお客様の心をつかむことも可能です。

 「商圏が狭いから」「地域経済が衰退しているから」「高齢者しかいないから」を業績低迷や新規事業を阻む理由とせずに、いいモノは全国に向けて、世界に向けて積極的に発信してみたらいかがでしょうか。