トップページ > 株式会社の設立、経営相談 > 事業目的の策定

株式会社の設立手続き、経営相談

株式会社の事業目的の策定

 事業目的とは、会社が行う事業の内容のことをいいます。「その会社がどんな事業を行っているのか」は外部の人にとってはいちばん重要なことであり、定款には会社の商号とともに最初に記載される事項です。会社は定款で定めた事業目的の範囲内でのみ権利義務を有するものとされていますが、実際には事業目的に記載されていない事業を行ったとしても、その取引が無効とされることはまずありません。しかしながら、上記のようにもっとも重要な情報であるほか、いったん設立の登記をした後にさらに目的を追加したり修正したりすると、それだけで3万円の登録免許税がかかりますので、設立前の段階で慎重に考慮すべき事項です。

 定款に記載する「目的」には、現在予定している事業内容のほか、将来行う可能性がある事業があればその事業内容も記載しておくことができます。つまり、明確に決定した事業目的にとどまらず、いくつでも事業を並べることができます。たとえば、建設業を営もうと計画している会社が、将来的に喫茶店を開業してみたいということであれば、「喫茶店の経営」を目的に追加して構いません。とはいっても、あまりにも脈絡のない事業内容を多数並べると、「そもそもこの会社は何を主体として事業をしているのか」が分からなくなってしまいます。ゆえに、ある程度の整合性があったほうがよい場合もあります。

 定款において「目的」として記載される事業は、下記の要件を満たさなければなりません。
 目的として犯罪行為に当たるものを事業として営むことはできないのは当然ですが、特定の資格を有する個人または当該個人のみを社員とする法人でなければ行うことができない業務は、会社の名で行うことが許されている場合に限り、定款上の目的とすることができます。また、行政機関の許可、認可、免許等を必要とする事業においては、それが法人格取得の要件とされていない限りは、あらかじめ事業開始の許認可等を受けていなくても、会社自体は設立することができます。

事業目的の適法性・営利性・明確性

 定款において「目的」として記載される事業は、下記の要件を満たさなければなりません。
 目的として犯罪行為に当たるものを事業として営むことはできないのは当然ですが、特定の資格を有する個人または当該個人のみを社員とする法人でなければ行うことができない業務は、会社の名で行うことが許されている場合に限り、定款上の目的とすることができます。また、行政機関の許可、認可、免許等を必要とする事業においては、それが法人格取得の要件とされていない限りは、あらかじめ事業開始の許認可等を受けていなくても、会社自体は設立することができます。

 特定の資格者の所持及び登録が要件とされている事業は以下のとおりであり、単に国家試験に合格するだけでなく所属単位会への入会及び登録が義務となっています。
 ・弁護士業務
 ・弁理士業務
 ・司法書士業務
 ・行政書士業務
 ・公認会計士業務
 ・税理士業務
 ・社会保険労務士業務
 ・土地家屋調査士業務
 ・測量業務
 ・海事代理士業務
 ・不動産鑑定業務

 特定の許認可が要件とされている事業は以下のとおりです。許認可の具体的な取得方法については行政書士に尋ねてみるとよいでしょう。開業希望者が多い飲食店は保健所の許可が必要ですし、中古の商品を仕入れてインターネット・オークションで販売することを事業として行う場合には警察署による古物商の許可が必要です。
 ・銀行業務
 ・貸金業務
 ・金融商品取引業務
 ・債権管理回収業務
 ・信託業務
 ・保健業務
 ・病院等運営業務
 ・学校業務
 ・電気工事業務
 ・建設設計等業務
 ・旅客自動車運送業務
 ・貨物自動車運送業務
 ・旅客定期航路業務
 ・航空運送業務
 ・酒類製造業務
 ・古物取引業務
 ・一般廃棄物処理業務
 ・産業廃棄物処理業務
 ・医薬品等製造販売業務
 ・理容美容業務
 ・たばこ販売業務
 ・飲食店営業等
 ・一般労働者派遣業務

 また、事業目的は営利性を有するものでなければなりません。たとえば、従業員の相互扶助を目的とするものや政治献金を目的とするものを事業目的として設定することはできません。

 さらに、事業目的は第三者から見て客観的かつ容易に特定できる程度に記載しなければなりませんたとえば、「飲食業」「金融業務」「能力開発業務」「共済保険の代理店業務」などは認められていませんので、具体的に事業内容を記載する必要があります。

 「目的」の記載方法に迷ったら、法務局で同業者の登記を閲覧するか、登記事項証明書を取得して参考にすることもできます。会社の登記は誰でも閲覧できますし、登記事項証明書を発行してもらうこともできます。ただし、せっかく自分の会社を作るのですから、丸写しは避けたいものですし、法務局では目的の欄の審査をしますが、登記されていても表現や漢字の表記が微妙に誤っていることもありますので、参考に留めておきましょう。

 「目的」の数は会社によって異なりますが、比較的小さな会社であっても10前後の会社が多いようです。